「天府」は四川の古い呼び名です。
店名は「天府舫」と書いて"テンフファン"と読みます。
「天府」は四川を意味する古い言葉です。四川省の世界文化遺産として知られる都江堰(とこうえん)は、岷江流域の扇状地に設けられた古代の水利・治水施設です。紀元前3世紀中国の戦国時代、が洪水に備え秦の太守・李冰親子によって築かれました。
玉壘山を切り開いた運河によって、乾燥した成都盆地を肥沃な農業地帯に生まれ変わらせました。こうして、四川地方は神の恵みある土地「天府」に生まれ変わったのです。
「舫」は日本語に訳すと「もやい」です。これは船と船をつなぎ安全に運行できるようにする道具のことです。
家族や友人たちの暖かい支えを感謝するとともに、日本のみなさまとの絆を築き上げたいという願いから名づけました。発音しづらい名前ではありますが、よろしくお願いいたします。
辛い料理がお好きな方と、そうでない方へ
四川料理のイメージは普通の中華料理を辛(から)くしただけというイメージがどうしてもあります。
日本に普及させた先人たちは、個性的な四川料理の魅力を少しでも伝えようとさまざまな工夫を加えてきました。おかげで、形を変えながらも「麻婆豆腐」「担担麺」「棒棒鶏」といった料理の数々が日本で広く知られるようになりました。まさに食の文化交流ですね。うれしい限りです。
歳月を経て、食の嗜好も多様化しましたし、日本人の海外旅行は当たり前になり、世界中のさまざまな料理が食べられるようになりました。
四川本来の味を日本のみなさまにご紹介したいというのは、四川出身の料理人共通の願いであり、近年、本場の味をご紹介する料理店が少しずつですが、増えています。
私もシェフも、ここ数年都内の四川家庭料理店で故郷のさまざまな料理を紹介してきましたが、2011年7月より、この西新宿に店を構えることになりました。まだまだ無名の小さな店でありますが、26年のキャリアを持つシェフの料理の味には自信があります。
最後に私事となりますが、この西新宿は私と妻が日本留学の際初めて訪れた場所です。思い出の地であり、勤めた日本企業もこの場所にありました。この地を再出発の場所に選んだのは、私から日本のみなさまへの感謝の思いでもあります。
みなさまのご来店を心よりお待ちいたしております。(店長 李岷峰(り・みんほう))